プライベートブラウジングはIPアドレスを隠せる?
「プライベートブラウジング」や「シークレット モード」という名前から匿名になれると思いがちですが、訪問先のサイトにはIPアドレスがそのまま見えていて、プロバイダや勤務先もあなたの操作の一部を確認できます。このモードが消すのは、主に自分の端末に残る痕跡です。ブラウザごとに、何が隠れて何が見えたままなのか、そしてIPアドレスを本当に隠せる手段は何かを整理します。
この記事のポイント
- プライベートブラウジングは、ウィンドウを閉じたときにそのセッションの履歴、Cookie、フォーム入力を削除するだけです。
- IPアドレスは隠れません。Firefoxははっきりそう説明しており、ChromeもEdgeも、プロバイダ、学校、勤務先があなたの操作を確認できると明記しています。
- サイトに見えるIPアドレスを変えられるのは、VPN、iCloud プライベートリレーのような中継サービス、Torネットワークだけです。
- 確認は1分で済みます。隠すツールを使う前と後でIPアドレスを比べてください。
プライベートブラウジングでできること
ウィンドウを閉じると、ブラウザはそのセッションの履歴、Cookie、フォームに入力したデータを忘れます。Chromeではこのモードのとき、サードパーティCookieが標準でブロックされます。一方、ブックマークやダウンロードしたファイルは端末に残ります。詳しくはGoogle Chrome ヘルプに書かれています。
具体例を挙げます。家族共用のパソコンで、サプライズの週末旅行を予約するとします。プライベートウィンドウなら、あとからブラウザを開いた人は検索履歴からあなたの検索内容を見つけられません。これがこのモードの本来の使い方で、効果はそこまでです。
できないこと
Mozillaはプライベートブラウジングによくある誤解のページで、IPアドレスや位置情報を隠せないとはっきり書いています。同じページには、サイト、検索エンジン、プロバイダ、勤務先が活動の一部を確認できる場合があるとも書かれています。
MicrosoftもEdgeのInPrivateについて同じ説明をしています。学校、職場、インターネット サービス プロバイダは、一部のデータにアクセスできる可能性があります。Chromeも、このモードでは自分の存在が見えなくなるわけではない、と説明しています。
プライベートブラウジングで誰に何が見えるのか
| 誰が | 何が見えるか |
|---|---|
| 訪問先のサイト | IPアドレスと、そのページ上での操作 |
| 契約しているプロバイダ(OCN や So-net など) | IPアドレスと、操作の一部 |
| 勤務先や学校 | 管理しているネットワーク上の通信 |
| 同じ端末を使う他の人 | 何も見えません。セッションの履歴とCookieは閉じるときに削除されます |
このモードの恩恵を実際に受けるのは、最後の行だけです。上の3行では、ネットワークを流れる内容はこのモードを使っても変わりません。
ブラウザごとの違い
Chrome。シークレット モードはIPアドレスを隠しません。GoogleはIP Protectionをシークレット モードの強化策として紹介しましたが、公式ページでは地域ごとに段階的に提供すると説明されており、国によって利用できるかどうかが異なる場合があります。自分のIPアドレスを確認しないまま、当てにしないでください。
Firefox。月50GBまで使える内蔵VPNがあり、Mozillaアカウントが必要です。提供はバージョン149から始まって現在も段階的に進んでおり、保護されるのはFirefoxの通信だけで、他のアプリの通信は対象外です。
Edge。InPrivateはIPアドレスを隠しません。一方、Cloudflareと共同で作られたEdge Secure Networkは、個人用のMicrosoftアカウントで毎月5GBまで無料で使えます。管理対象のデバイスや一部の地域では利用できません。
Safari。Appleによれば、Safariは既知のトラッカーがIPアドレスを利用するのを防ぎます。訪問先のサイトにはIPアドレスが見えたままですが、iCloud+の契約が必要なiCloud プライベートリレーをオンにすると変わります。それでも、IPアドレスはプロバイダと、Appleが運用する最初の中継サーバーには見えています。
Brave。Tor対応のプライベートウィンドウは、通信を3つの中継サーバー経由にし、サイトにはあなたのIPアドレスではなく最後の中継サーバーが見えます。BraveはTor対応でも本当のIPアドレスを突き止められるサイトがあること、閲覧が遅くなること、この機能がパソコン版だけにあることを案内しています。
IPアドレスを本当に隠せる手段
- VPN:サイトにはVPNサーバーのIPアドレスが見えますが、VPN事業者にはあなたのIPアドレスが見えます。信頼できるレンタルサーバーを選ぶ感覚で選んでください。
- iCloud プライベートリレーのような中継サービス:iPhoneとMacでは手軽ですが、対象はSafariだけです。
- Tor:このリストで最も秘匿性が高い手段ですが、速度が遅くなり、中継サーバーを遮断するサイトもあります。
- プロキシ:サイトに見えるIPアドレスは変わりますが、通信が暗号化されるとは限りません。簡単な用途にとどめてください。
設定が不十分な隠蔽ツールは、DNSリクエストやWebRTCなどを通じて本当のIPアドレスを漏らすことがあります。訪問するサイトの利用規約も読んでおいてください。VPNやプロキシ経由のアクセスを禁止しているサイトがあります。
1分で確認する方法
- 通常のウィンドウでIPmeのIPチェッカーを開き、IPアドレスと国をメモします。
- プライベートブラウジングのウィンドウを開いて、もう一度チェックします。アドレスは同じです。
- VPN、中継サービス、Torのいずれかをオンにして、もう一度チェックします。
- アドレスと国が変わっているはずです。変わっていなければ、隠蔽は機能していません。
私たちの見解:プライベートブラウジングは、共用の端末に痕跡を残さないためのものであり、身を隠すためのものではありません。IPアドレスを隠したいなら、このモードで止めないでください。名前が与える安心感は誤解を招くもので、ブラウザ各社のヘルプ自体がそれを否定しています。
おすすめの使い方:
- 共用パソコンなら、プライベートブラウジングで十分です。
- 日常的にIPアドレスを隠すなら、評判のよいVPNを選んで、必ず動作を確認してください。
- より高い秘匿性が必要なら、Torを使ってください。
- 設定を変えるたびに、IPチェックをやり直してください。
よくある質問
プライベートブラウジングはIPアドレスを隠しますか?
いいえ。訪問先のサイトには、接続元のIPアドレスが見えたままです。Mozillaもヘルプではっきり明記しています。
プライベートブラウジング中の操作はプロバイダに見えますか?
一部は見えます。Chrome、Firefox、Edgeは、プロバイダ、学校、勤務先が活動を確認できる場合があると説明しています。VPNを使うと、その見える相手がVPN事業者に移るだけで、なくなりはしません。
プライベートブラウジングでも追跡されますか?
Cookieによる追跡は減ります。閉じるときに削除され、Chromeはこのモードでサードパーティ Cookieをブロックするからです。それでも、同じIPアドレスから戻ってきたあなたをサイトが見れば、見分けるための手がかりは残ります。
VPNとの違いは何ですか?
プライベートブラウジングは自分の端末に作用し、VPNは通信の経路に作用します。前者は端末内の痕跡を消し、後者はサイトに見えるIPアドレスを変えます。
SafariはIPアドレスを標準で隠しますか?
Appleによれば、隠す対象は既知のトラッカーだけです。訪問先のサイトにはまだ見えますが、iCloud プライベートリレーを使う場合は別です。
IPアドレスが本当に隠れているか、どう確かめますか?
VPN、中継サービス、Torをオンにする前と後で、チェックツールが表示するIPアドレスと国を比べてください。何も変わらなければ、隠蔽は有効になっていません。